私たちの研究室全体として,そして2つの研究グループ(エージェントグループとマルチモーダルインタラクショングループ)のそれぞれについて,研究の目的と方法を簡単に紹介します.

インタラクティブ知能って?

ロボットやコンピュータが“知能”を持っているといわれたとき,どういう能力を連想するでしょうか.見たり聞いたりしたものを人間のように理解できるだとか,命令しなくても自分で計画を立てて行動するだとか,心の働きや感情を持っているだとか,いろいろと思い浮かぶと思います.実際,“知能”を研究している人たちの考えかたも研究のアプローチも千差万別です.

私たちの研究室では,たくさんある“知能”のうち,以下の三つに注目しています.

これら3つの“知能”には,いずれも「外界(人や環境)とのインタラクション」という要素を含みます.このように,本研究室では(特に人との)インタラクションに重点を置いて“知能”を考えています.ロボットやコンピュータの内側(脳)のことだけではなくて,その外側にある世界とのインタラクションを積極的にデザインする.このことを特徴づけるために,“知能”の前に“インタラクティブ”という言葉を冠して「インタラクティブ知能」と研究室名を名付けました.
(「インタラクティブ知能」と いう言葉は一般に認められた専門用語ではありません)

エージェントグループとMMIグループ

上の図にも示したとおり,インタラクティブ知能研究室は大きく二つの研究グループに分かれます.岡教授・尾関助教を指導教員とするエージェントグループと,荒木准教授を指導教員とするマルチモーダルインタラクショングループ(通称,MMIグループ)です.
いずれのグループも,ある種の“知能”によって外側にある世界とインタラクションするという点では共通していますが,“知能”に対するアプローチが違います.エージェントチームでは,赤ちゃんのように知識を獲得するような知能(自律学習や発達など),心や認知のモデルとしての知能(注意など)を扱います.一方で,MMIグループでは人が生み出した膨大な知識(ウェブやコーパスなど)を扱うような知能を扱います.
以下にそれぞれのグループの特徴をまとめておきます.

エージェントグループ

エージェントグループでは,赤ちゃんのように知識を獲得するエージェント(ロボットやCGキャラクタ)をはじめとして,ヒトや生物の知能や高度な振る舞いがどのようにして実現されているのか,作って(創って)確かめるアプローチによって研究を行っています.そのほか,人とロボット/システムのインタラクションに関する研究にも色々と取り組んでいます.
エージェントグループの研究は,認知科学,人工知能,知能情報学,HAI(ヒューマンエージェントインタラクション),認知発達ロボティクスといった研究分野に関係しています.研究テーマのキーワードは,発達,学習,インタラクション,注意,ワーキングメモリ,連想記憶,意識などです.道具として,強化学習,ニューラルネットワーク,ベイジアンネットワーク,SVM,粒子フィルタなど,機械学習,パターン認識,画像処理,統計処理などの各手法を用います.

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MMIグループ

MMIグループでは,6階層マルチモーダルアーキテクチャを技術の中心として,手軽にマルチモーダルな(音声・映像・キーボード・点字など複数のモーダルを使った)システムを構築する研究を行っています.6階層マルチモーダルアーキテクチャの要素技術開発や,アーキテクチャを利用したシステム構築などに取り組んでいます.
MMIグループの研究は,言語処理,音声処理,ヒューマンインタラクション,人工知能といった研究分野に関係しています.研究テーマのキーワードは,マルチモーダルインタフェース,セマンティックウェブ,メタデータ,対話ロボットなどです.道具として,音声認識技術,セマンティックウェブを扱う各種フレームワーク(RDLやOWLなど)を用います.

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