どの研究室がいいんだろう? どんな雰囲気の研究室なんだろう? そういった人たちへのアドバイスです.

どの研究室を選ぶべきか

あなたが学びたいことを学べる研究室が,あなたにとってよい研究室です.そして,何が学べるかは研究室ごとに大きく異なります.インタラクティブ知能研究室では,皆さんがこれからの人生を見通すことができるように,見晴らしのよい小高い丘に立つことを次のように支援します.

知能の理解に向けての研究を通じて,人への理解が深まります
世の中の多くのシステムは人が使用するものですから,将来,人が使うシステムを設計する仕事に就く人は多いと思います.人への深い理解は,人が使うシステムを設計する力を高めます.
『知能』は,科学の最後のフロンティアともいわれる,おそらく最も複雑な研究対象です.したがって,知能の研究を経験することは,今後ますます重要になる大規模複雑なソフトウェアやシステムを設計する力を高めます.
人を深く理解することは,人間関係の構築力を高めます.これは,これからの人生を切り拓くのに欠かせない力になると思います.
ユニークな経験をする機会を提供し,オンリーワンに育つきっかけをつくります
提供する機会の例 その1:
インタラクティブ知能研究室では,「サイエンスの価値観」に触れることによって,皆さんの視野を広めます(見晴らしがよくなる).皆さんがこれまで受けてきた教育は「工学の価値観」に基づくもので,情報工学専攻のほとんどすべての研究室は工学の立場で研究教育を行っています.これに対して,インタラクティブ知能研究室には,工学の立場からのテーマだけでなく,わかってうれしいとか,おもしろい,といった純粋なサイエンスの価値観に基づくテーマが存在します.たとえば,学外の研究室と共同して,赤ちゃんを対象とした実験をすることもできます.
提供する機会の例 その2:
英語を話す留学生がいますので,あなたが希望するなら,英語を使わざるをえない状況をつくることができ,いながらにして英語力が高まります.卒業研究や修士課程での研究,就職や,就職してからの研究開発の上で,英語力は必須です.得意な英語力に磨きをかける,あるいは,苦手な英語を克服するチャンスです.
提供する機会の例 その3:
私たちは,多様性が創造の原動力だと考えています.そこで,研究室外の専門分野が違う人(文化系も含む)との交流が定期的にできる場を設けて活動しています.このような環境の中で,新しいことが生み出される現場を,皆さんにぜひ経験してもらいたいと思います.
パナソニック流のプロジェクト制の研究活動を行います(エージェントグループ)
エージェントグループのメンバーになると,複数のプロジェクトに属することができます.次のようなプロジェクトも計画しています:特許調査から始めて,技術開発,実験による検証,(よい成果が出れば)特許申請,企業への売り込み,(うまくいった場合は)成果が広く社会で使われるところまで目指します.就職後にしか得にくい経験の一部を先取り体験することで,将来の展望を開く助けになると思います.
自然言語処理・機械学習のエキスパートを目指します(MMIグループ)
MMIグループでは,自然言語を中心とした複数のモダリティを用いて人間とコンピュータがコミュニケーションを行うシステムの開発を行います.特に音声対話技術は,近年注目されている分野であり,情報工学の知見が総動員されている技術と言っても過言ではないものです.

インタラクティブ知能はどんな雰囲気?

匿名アンケートや口頭で学生に聞いた結果を以下に貼り付けておきます.

インタラクティブ知能に関するQ&A

過去の研究室公開のときに訊かれた質問に答えた内容です.一部では少し厳しく書いていますが,理系国立大学としての自覚と誇りを持っていきましょう.

Q: エージェントグループとMMIグループに分かれて研究するのですか?
A:
はい.募集は研究室単位で行いますが,配属後のオリエンテーションで,どちらのグループで研究するかを選んでもらいます.勉強会(ゼミ)やミーティングはグループで分かれて行いますが,年3回の中間報告会や掃除,飲み会などは合同で行います.

Q: 週に何日くらい研究室に行く必要がありますか?
A:
原則として平日の日中は研究室に来てください.来なくても研究の進む人はそれでも構わないのですが,心配な人は顔を出すことで研究ペースが守れます.また,理工系の大学教育の中でもっとも効果があるのは,研究室への配属後の研究室教育だというデータがあります[濱中,2009].これは,後から振り返ると「大切なことはすべて研究室で教わった」となるということですから,できるだけ研究室で過ごす時間を増やすことを,私たちは勧めます.

Q: 研究室にいなければいけない時間帯は決まっていますか?
A:
勉強会や掃除当番などのイベントがないときは個人の自由ですが,コアタイムを11:00?16:00として,(講義時間を含めて)1日6時間は在室して欲しいと思っています.罰則はないのでダラダラ過ごすことは可能ですが,自己管理は社会人の基本なので研究室で身につけてください.

Q: ゼミやミーティングはどのくらいのペースでありますか?
A:
スケジュール(こちら)を参照してください.

Q: アルバイトはできますか?
A:
できます.ただし,平日の日中や深夜通しのアルバイトは(特別な事情がない限り)避けてください.修士課程に入るとTAのアルバイトも斡旋できます.なお,卒論/修論の間際はアルバイトをしていると間に合わなくなることもありますので,調整の利きやすいアルバイトのほうがよいでしょう.

Q: 院試の勉強はいつから始められますか?
A:
研究との両立ができればいつからでも始められるのですが,勉強会への参加義務が免除されるのは7月と8月です.英語以外は7月から集中して始めるのが(早く始めすぎて息切れするよりも)よいと思います.英語は今からでも勉強しておいてください.なお,他大学の院試を受ける人に特別の配慮はありません.自分で情報や資料を集めてもらう必要があります.

Q: プログラミングが得意でないとダメですか?
A:
得意であるに越したことはありませんが,研究室に入ってからしっかりと勉強する気があれば大丈夫です.心配しなくても,研究を進めるためのプログラミングなので,勉強というよりは,使って慣れるという感じです.いずれにせよ,情報系学科卒でプログラミングが苦手というのは通用しませんから,苦手な人はどの研究室に入っても必死に勉強することになると思います.

Q: 関連講義(知能工学やパターン認識)の成績が悪かったのですが…
A:
これらの科目と研究は関連はしていますが,そのものではありません.研究は,講義よりもずっと具体的で,範囲も絞られていますので,講義が分からなくても研究は楽しいということもよくあります.研究を進めるうちに,分からなかった講義の内容が理解できたということもあります.研究生活(会社でも)で一番大事なのは「やる気」と「自己管理能力」ですから,これらがあれば,講義の成績のことはそれほど気にしなくても構いません.

Q: 就職活動への配慮はありますか?
A:
基本的に就職活動を優先するように配慮しています.ただし,学会発表や論文投稿を予定している人は両立してもらうことになります.2月中旬?3月はゼミ(勉強会)が無いので研究室に全く来ないで就職活動ということも可能ですが,研究も並行して進めている人のほうが就職活動もうまくいくケースが多いように思います.

Q: 就職先と研究室(研究内容)は関係しますか?
A:
企業にもよりますが,研究内容が直接的には関係することは少ないと思います.ただし,エントリーシートや面接で自分の経験を会社にどう活かせるかを述べるときには,関連づけやすい研究をしていたほうがやりやすいということはあるかもしれません.一方で,研究生活で培われる一般的な力(コミュニケーション能力,プログラミング能力,プレゼンテーション能力,知識を利用する能力,自己管理力,責任感,マナー,他)が身に付いているか否かは面接等できちんと見られますから,これらを培うことのできる力を持った研究室を選ぶことは就職にも大いに影響するでしょう.もちろん,インタラクティブ知能研究室はこれらの能力を培う体制は万全です.

Q: 専門知識以外で就職後に役に立つことはありますか?
A:
研究を通じて専門知識が高められるのは言うまでもありませんが,語学力や教養も高まることが報告されています.語学力や教養は,論文を読み書きし,研究,発表,議論する活動を通じて培われるのだと思います.さらに,研究室というミニ社会での研究室メンバーとの日々の交流を通じて,社会交流能力も高められます.社会交流能力ならアルバイトやサークル活動でも高まると思うかもしれませんが,アンケート調査の分析によると,管理職としての業績(自己評価)は,研究室での論文の執筆活動や研究室メンバーとの交流・会話によって高められたという結果が出ています(その一方で,アルバイト・サークル活動との関係は有意差なし).研究室でしっかりと研究し,また,親睦を深めた皆さんが 将来 大いに活躍することを期待しています.

Q: 事前に勉強しておいたほうがいいことはありますか?
A:
無いことはありませんが,実際にどの手法/プログラミング言語を使うことになるかは研究テーマが決まるまでわかりません.それよりも,大学生活で緩んでしまった気持ちを引き締め直すことのほうがずっと大事です.あと1?3年後には自分で稼いで生活していくんだということ,これまでのように甘えて過ごしていてはいけないんだということを念頭に置き,研究生活を自立のための準備期間(筋トレ期間)に位置づけてください.毎日研究室に行くのも,研究を進めるのも,雑用を言いつけられるのも,疲れるなぁと思うことがあるかもしれませんが,筋トレなので疲れるのは当然.そのかわり,知らずのうちにしっかりと筋力がついてきます.就職活動でも,働きだしても,その筋力の差がものをいいます.

Q: 博士課程に進みたいのですが…
A:
歓迎します.ただし,研究者(教育者)として自活していくための能力的・性格的な向き・不向きがありますので,就職活動が始まる頃(M1冬)までじっくり考えてもらえばよいと思います.もちろん,進学の意思が少しでもある場合は,配属当初から教員に相談しておいてもらえると,博士向けの研究テーマを選択したり,向き・不向きを長い目で見て判断することができます.